これは以前のエントリーでも言いましたが、恵庭の孵化場内水面資源科長さんからボクラが直接伺った言葉です。
「ヤマメのリリースなんて、意味無いでしょ?!」
「みんなどうせ死んでしまうのだし」
「そもそも河川残留型のサクラマスは、漁業資源には影響ない物」
「ま、アンタラがそうしたいのであれば、別にイイんじゃないですか?」
(キャッチ&リリースを指す↑)
内水面の資源量を増やし、同時に健全に育むことを目的とする部署の現場を総括するべき科長さんから、このような言葉を聞いたときにはボクの心の中で【落胆】というよりも【驚き】の方が大きかったことをハッキリと憶えています。
ボクラは、釣り人として、資源量の減耗を食い止めながらも楽しめる方法。
言い換えれば、水産行政や漁業者とも折り合いが付く遊漁の在り方を模索していた矢先のこの言葉に、深い喪失感のような物に包まれました。
※ 他の各孵化場に勤務されている職員の方々は、各組織で行う「サクラマスの発眼卵放流」の際にはとても親切にアドバイスを頂いたり、都合が合わない場合などにも便宜を働いていただいたり、時には現在の河川の状況の資料などをお見せして頂く等、河川資源に対する思いやりを強く持ち合わせている方々だということを、誤解のないように付け加えておきます。
昨今のレジャーフィッシングでは、テンカラ・ルアー・フライ・エサを問わず【キャッチ&リリース】という行為が浸透してきています。
その意義は個々の釣り人によって様々な捕らえ方をされていて、「また釣りたいから」 「どうせ食べないから」 「殺すのが可愛そうだから」などなど、実に多様な捕らえ方でリリースという行為に同意して、魚を流れに戻しています。
当然、ヤマメ(河川残留型サクラマス)もリリースの対象となっていて、多くの方がその行為に同意をしています。
それでは、果たしてヤマメをリリースすることは全く無意味なことなのでしょうか?
本当に「みんなどうせ死んでしまう・・・・」のでしょうか?
内水面資源(サケ・マス)に於けるエキスパートが言うのだから、その言葉には間違いは無いのでしょうか・・・・・?
0.1%の生存率(残存率)も有り得ないということなのでしょうか?
では、コチラをご覧下さい。

上顎下顎共に大きな欠損が見られます。
一部、赤く擦り切れている場所は水揚げの際に網やタモなどで出来た新しい傷です。
(傷口の出血及び内出血にて、傷が出来た時間の誤差が解ると思われます)
正常な口周りの成魚と比べてみてください。

このように、釣堀などで非常に良く見られる上下の顎に陥没したような傷を持つサクラマスやアメマスは、函館の市場で結構見ることができます。
どの時期に傷を負ったのか(釣り針に掛かったのか)は不明ですが、少なくとも一度釣り針に掛かった魚でもちゃんと生き延びて漁業資源として役立っていることが実証されたのではないでしょうか?
また、今回は残念?ながら網に入ってしまい“漁師の稼ぎ”になってしまいましたが、もし生き延びていれば、産卵に参加して沢山の子孫を残し、河川資源及び漁業資源にもプラスの影響を与えたことは想像に難しくありません。
ですから、どうか冒頭のように「リリースなんて意味が無い」というような考えや、「どうせ死ぬんだから」などといった考えを持っている方は、今一度思い直して欲しいものです。
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